2010年7月25日日曜日

夏支度


毎年言っているような気がするけれど
やっぱり 今年の夏の暑さは特別な気がします。
夏は昔から暑いものと決まっていたけれど
これほどは暑くなかった気がします。

でも もしかしたら「気がする」だけなのかもしれないです。
昔の日本人は演出が上手だったですもの・・・・
「涼しい気がする」ような演出が

私が子供の頃住んでいた家は 軒の長い日本家屋で
夏になるとその軒先に母が簾(すだれ)をかけていました。
軒の下には金属の風鈴をちょこっとつり下げて
縁側には籐の寝椅子を置いて
そんな夏支度を毎年していたのでした。

縁側が面した中庭には井戸があったので
スイカは長いヒモを付けたかごに入れてその井戸の中にぶら下げて冷やしたものでした。
井戸の手押しポンプにヒモが結んであると
「あ・・・冷たいスイカが食べられる」って わかったのでした。

井戸の水は柔らかい匂いがして ひんやりと冷たくて
夕方になると母は毎日井戸水を庭に撒くのでした。
そうすると 昼間の暑さを含んだ庭木や石が
一度にシャキっと生き返るのでした。

井戸水の冷気を感じながら
縁側の寝椅子で横になっていると
クーラーなんて無くったって
心地よい眠気が降りてくるのでした。

部屋の中はというと
間仕切りの障子もふすまも全部取り払って
鴨居に下げた御簾(みす)で部屋を気持ちだけ仕切るのでした。

御簾で仕切られただけの家の中は
離れた部屋の人の気配も感じられて
その開放感が子供心に嬉しくて
夏が来るのが楽しみでした。

夜になると
中庭を隔てた向こう側の部屋で寝ている両親が
団扇で腰をパタパタと叩きながら語り合っている声が
御簾を通して聞こえてくるのでした。

今思うと やはり寝苦しい夜は昔もありました。
蚊帳なんかに入って寝ると どうしようもなく暑かった。。。。

やっぱり夏は 昔から暑かった。。。。

それでも私の記憶の中では 母が夏支度した家の中には
風が風鈴を揺らしてそよそよと吹いているのです。

2 件のコメント:

  1. 読んでいるだけでも・・・涼しくなりますね~

    風鈴の音が聞こえてきそう・・・

    あの頃はこんな夏だったのですよね。

    今となっては なんだかとても贅沢な暮らしのようですよねえ~

    返信削除
  2. あの頃は季節ごとに決まった支度があって
    それにそってやっていれば
    四季を気持ちよく感じながら過ごせたような気がしますね。

    今はエアコンのスイッチを押すボタンが変わるぐらいで~

    ところでパリコレなんかは季節の1,2歩先を行ってますけど
    someさん達も絽とか紗とかは冬場に扱ったりするのかな?
    今の時期は袷を縫っているのかな~なんて ふと思いました。

    返信削除