2011年10月30日日曜日

チェルノブイリ ハート

映画「チェルノブイリ ハート」を観てきました。
チェルノブイリの原発事故から25年経った今でも、汚染地域で産まれている新生児のなんと85%が何らかの異常を持って産まれているという事実を追ったドキュメンタリー映画です。
85%の数字に聞き間違いかと思いましたが、ようするに正常な状態で産まれる子供が15%しかいないという驚くべき事実を映画は語っていました。

本当に驚きました。
チェルノブイリの事故はまだ終わっていないのですね。25年経った今でも悲劇は続いているのですね。
チェルノブイリの放射線の子供への影響は甲状腺への影響が一番重大なものだと思っていたけれど、とんでもなかった・・・
もっともっと悲惨な子供が沢山産まれ続けているのですね。

汚染地域では心臓の壁に穴が開いた子供も沢山産まれているのだそうです。「チェルノブイリ ハート」とはそういう病症のことだそうです。

チェルノブイリと同じ最悪のレベル7となった福島の原発事故。この映画が福島の未来の姿だとはとても思いたくないし、けっしてそうなってはいけないと思うけれど・・・・
見えない放射能、確たる導きの無い現実にとまどうばかりです。

チェルノブイリの事故処理にあたって、奇跡的に生き残ったある女性が日本に向けて助言を発しています。

掲載元
Run away as quickly as possible. Don't wait. Save yourself and don't rely on the government because the government lies. They don't want you to know the truth because the nuclear industry is so powerful.
出来るだけ早く逃げなさい。自分の身は自分で守りなさい。
政府を頼っちゃだめです。なぜなら政府はウソをつくから。
彼らはあなた達に真実を知って欲しくないのです。
原発産業というものはそれほど強烈な権力を持っているのです。
 
「ただちに健康に影響するものではありません。」
 
事故当初から枝野官房長官が国民に言い続けていたこの言葉・・・
あれは何だったのだろうか と 今になれば思ってしまいます。

チェルノブイリの教訓は生かされるのでしょうか。
「政府を頼るな」
というこの言葉がズッシリと重く感じます。

2011年10月14日金曜日

インターネットと幸福度


現ブータン国王夫妻
国民総幸福量(Gross National Happiness, GNH)とは 1972年にブータンの前の国王が提唱した国民全体の幸福度を示す尺度なのだそうです。国民総生産(Gross National Product, GNP)で示されるような、金銭的・物質的豊かさを目指すのではなく、精神的な豊かさ、つまり幸福を目指すべきだとする考えから生まれたものなのだそうです(ウィキペディアより)。 そして今、ブータンはこの国民総幸福量の増加を国の政策目標としているのだそうです。
国の方針を決めるとき、どっちが国民が幸せな気持ちになれるかということを一番大事にして決めていくということなのですね。ステキ!!
そしてブータンはこの夢のような政策を着々と実行してきたのでした。
2007年の国勢調査の「あなたは幸せですか?」という問いになんと9割の国民が「はい」と答えたというではありませんか!感激。。。。

ところが、その素晴らしい政策に邪魔をし始めたのがインターネットの普及だそうで、世界中の情報を得た若者が物質的豊かさを求め始めたというのです。便利な都会に若者が集まり、失業者が増え、幸せじゃない人が増えてきたそうです。

日本ではこのところ携帯各社が競走してスマートフォンの新製品を次々に売り出しています。以前の携帯以上に若者のネット依存度が増すことでしょう。以前は繋がっていなかった見えない糸が全世界に繋がって、ここに居ながらにして心は遠くへ飛んでいる若者がこれからもっと街中に溢れるのでしょうね。
遠くに飛んでいる心は「豊かな心、幸せな心」とは違ったなんだか空虚なつかみ所のないフワフワしたものに思えてしまいます。

もしかして、どんどんおかしな方向に進んでいるような・・・
目に見えない放射能と同じで、ジワジワと心が蝕まれているんじゃないかなぁ・・・

っと 最近思ったのでした。


2011年10月2日日曜日

小出裕章という人

福島第一原子力発電所の水素爆発をテレビで見たとき、私は底知れない恐怖を感じました。もしかして日本という国の終わりの時が来るのかもしれない、そう思ったのです。
しかしその恐怖心を和らげるわけでもなく、NHKの解説員や原子力安全保安員、それに政府の報道はまるで冷静さを装うような感情のない表情で上っ面の空虚な現実とも何とも分からないような事を伝えるだけでした。真実はテレビや紙面は教えてくれないと思い様々な本やネットの情報を探しました。

その過程で、原発の危険性を何年も前からずっと訴え続けている人の存在を知りました。京都大学原子炉実験所助教の小出裕章という人です。

様々な専門家の話の中でもこの小出さんのお話には一片の曇りもなく、事故後ずっと私たちに真実と可能な限りの対処法を伝える努力をし続けていらっしゃいます。

その小出さんの温かいお人柄が伝わってくる動画を見ることが出来ました。
人として大切なものを思い出させていただけたような気がして、涙が出てしまいました。

動画はインタビュアーの一人、岩井俊二さんのHPより
http://iwaiff.com/201110/jp/friends/friends_after_311_movie_koide.html

2011年10月1日土曜日

バベル

3.11、特に原発の事故を境に日本という国の印象が変わってしまったように思う。 日本という国はそれまで、何事にも繊細で緻密な考えをもって、浮かれず、うろたえず、賢く、国民一人一人の人権を重んじ行動出来る国だと思っていた。そしてあの戦争をも乗り越えた勤勉で真面目で誠実なこの国民性を持ってすれば、今回の未曾有の大地震、大津波の被害さえもきっと乗り越えらるに違いないと信じていた。

ところが、あの原発事故が大きく行く手を阻んでしまった。

戦争や地震や津波は規模の大小はあってもこれまでも日本の歴史に刻まれてきた既知の出来事だが、こと原発事故に関しては違っていた。日本人、いや人類が初めて経験した3基の現役の原子炉が一度に壊れてメルトダウンし放射能をまき散らすというまさしく未曾有の事故なのだ。
その初めて直面した大きな大きな試練が、いとも簡単に日本の指揮官達のセンサーを狂わせてしまった。

皮肉なことに戦後日本に次々と造られた54基もの原子炉は、まさに戦後の日本の経済的復興のシンボル的存在だったのではないだろうか。
まるで戦後の経済成長の大きな波に乗って限りない経済の天空を目指して積み上げたバベルの塔のように。。。

結局バベルの塔と同じように原子炉は崩れてしまった。

見つめるべきは天空ではなく足もとの現実だ。
重んじるべきは塔ではなくそこに住む人々だ。

現実から目をそらしてはならないのだ。
もっと真実を知らなければ、伝えなければ、慎重にならなければ、
このままでは夢も希望も復興も、もしかしたら日本という国も消えてしまう。