2010年12月29日水曜日

母のこと・・・


転院してから母がまったく目を開けなくなっている・・・っと姉から連絡があって先日様子を見に帰省してきた。鼻からのチューブで栄養が少し入るようになったと聞いて安心していたのだけれど、予断はゆるされていなかった。
実家に着くより先に病院に寄ってみた。病室の名札の配置を見ると4人部屋の窓側のベッドが母のベッドだ。でも母の寝ている白いシーツのふくらみがとても小さく思えて驚いた。

「お母さん」と声をかけても寝息を立てて眠っている。頭を撫でても肩を揺すってもまったく起きる気配がない。「ホント お姉さんが言ってた通りだ・・・」 仕方がないので持ってきた爪切りで母の爪を切った。痩せてシワシワになった母の手だが驚くほど柔らかい。この手で人の何倍も働いてきた母なのに、何も出来なくなってもう何年になるのだろう。柔らかい母の手が病んでからの年月が長くなってきたことを語っていた。

背中を少しマッサージしようと思い、母の脇腹から私の手を背中に回した・・・すると 「フフフ・・」っと母が鼻で笑ったのだ。「えっ?」と思い背中をこすると母は半分寝たままのように目をショボショボさせた。「あれっ?おきた?」っと母の顔を覗き込むと、半開きの目のまま私を見つめてボソボソ盛んに話しかけてくる。しかし痰が絡んでまったく聞き取れない・・・・

思い起こせば数年前、ショートステイの施設から急遽精神科の病院に強制入院になり、その後入った施設や今回の外科の入院、転院 と・・・母はおぼつかない脳で必死に順応してきたのだろう。
以前は面会に行くと「ここは何処ですか?」っといつも聞いていた。きっと不安感でいっぱいだっただろう。


今はもう食べ物もとらずに、足には人工大腿骨、尿はチューブで採取され、痩せこけた身体なのに、それでも母は「フフフ・・」と笑ったのだ。

お母さんはホントにすごいよ・・・
こんな瞬間もあるのだから、もう少し生きてていいよね お母さん

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