2011年10月1日土曜日

バベル

3.11、特に原発の事故を境に日本という国の印象が変わってしまったように思う。 日本という国はそれまで、何事にも繊細で緻密な考えをもって、浮かれず、うろたえず、賢く、国民一人一人の人権を重んじ行動出来る国だと思っていた。そしてあの戦争をも乗り越えた勤勉で真面目で誠実なこの国民性を持ってすれば、今回の未曾有の大地震、大津波の被害さえもきっと乗り越えらるに違いないと信じていた。

ところが、あの原発事故が大きく行く手を阻んでしまった。

戦争や地震や津波は規模の大小はあってもこれまでも日本の歴史に刻まれてきた既知の出来事だが、こと原発事故に関しては違っていた。日本人、いや人類が初めて経験した3基の現役の原子炉が一度に壊れてメルトダウンし放射能をまき散らすというまさしく未曾有の事故なのだ。
その初めて直面した大きな大きな試練が、いとも簡単に日本の指揮官達のセンサーを狂わせてしまった。

皮肉なことに戦後日本に次々と造られた54基もの原子炉は、まさに戦後の日本の経済的復興のシンボル的存在だったのではないだろうか。
まるで戦後の経済成長の大きな波に乗って限りない経済の天空を目指して積み上げたバベルの塔のように。。。

結局バベルの塔と同じように原子炉は崩れてしまった。

見つめるべきは天空ではなく足もとの現実だ。
重んじるべきは塔ではなくそこに住む人々だ。

現実から目をそらしてはならないのだ。
もっと真実を知らなければ、伝えなければ、慎重にならなければ、
このままでは夢も希望も復興も、もしかしたら日本という国も消えてしまう。

0 件のコメント:

コメントを投稿