2013年5月17日金曜日

父がおばけにならないわけ

「おじいちゃんがおばけになったわけ」という児童書を読みました。

◎ストーリー
エリックの大好きなおじいちゃんが心臓発作のため路上で死んでしまいます。ママは「じいじは天使になるの」と言います。パパに聞いたら、「じいじは土になるんだよ」と教えてくれました。天使も土も、エリックにはピンときません。じいじがエリックの部屋にやってきたのは、その夜でした。じいじは何かこの世に忘れ物があるので、おばけになったようです。エリックとじいじは忘れ物を捜すために、じいじの家に行きました。じいじの家にはじいじの思い出がたくさん詰まっていました。じいじとエリックは楽しかった時間をたくさん思い出しました。でもじいじの大事な忘れ物はそこにはありませんでした。次の夜じいじはまたエリックの部屋にやってきます。そして大事な忘れ物をエリックに告げるのでした。じいじの忘れ物はエリックにちゃんとさよならを言っていなかったという事でした。じいじはエリックにさよならを告げて、ばあばの待つ天国へ旅立っていきます。そしてエリックは安心して眠りにつくのでした。

わたしの父が亡くなって明日で一ヶ月になります。今年のお正月に息子のお嫁さんを父に会わせるために父の施設にみんなで行きました。父と面会するときはいつもわたしと記念写真を写していたので、そのときも父を囲んで写真を撮ろうとすると「お別れするみたいだからいやだ」と父が言ったのです。わたしが父に最後に会ったとき、肺炎のために父は息も絶え絶えの状態でした。それでも得意の英語で「where am I ?」と息ともわからぬ声でわたしに言うのです。「you are in hospital」と答えると満足そうにうなづくのでした。
父は結局わたしにさよならを言わずに逝ってしまいました。その後一度もわたしの夢にも出てきてくれません。おばけにもなっていないみたいです。
父はこの世に忘れ物をしていないのでしょうか。わたしは父にちゃんとさようならとありがとうを言いたかったのだけど・・・